当サイトのレポートには、毎回「買い支える価値」という判定を付けています。これは買い推奨ではありません。むしろ逆で、買ってはいけない下落を見分けるための軸です。
株価が下がったとき、投資家が本当に知りたいことは1つに集約されます。
この下落は、資産が毀損したのか。それとも、値段だけが下がったのか。
値段だけの問題なら、待つことに意味があります。むしろ買い増す機会かもしれない。しかし資産そのものが傷んでいるなら、待っても戻りません。安く見えるのは、安くなるだけの理由があるからです。
「割安かどうか」を議論する前に、この区別を付ける。それが「買い支える価値」という判定の役割です。
判定は感覚ではなく、決算短信から確認できる3点で行っています。
この3つが揃うほど、下落は「値段だけの問題」である可能性が高くなります。
これまで分析した銘柄を、この軸で並べたときの違いが分かりやすい例です。
小松マテーレ(3580)は◎でした。実質無借金、自己資本比率78.3%、発行済株式の9%を消却済み、本業は黒字。下落が資産の毀損に転じる経路がほとんどありません。
三桜工業(6584)は✕でした。事業転換の筋は通っているのですが、有利子負債が時価総額の1.8倍あり、営業キャッシュフロー14.8億円に対して投資が134.7億円。株価が下がる局面では財務不安が同時に意識されます。ここで買い支えると、下落と希薄化の両方を引き受けかねません。
アコム(8572)は△で、理由が構造的です。貸金業なので、株価が下がる局面=景気悪化=貸倒が増える局面。安く買えるときには、必ず中身も悪くなっている。ナンピンの前提である「価値は変わらず値段だけが下がった」が成立しにくい業種です。
◎が付いた銘柄が上がるという意味ではありませんし、✕が付いた銘柄が悪い会社という意味でもありません。三桜工業の技術は本物です。
この判定が答えているのは「下落したときに、待つ根拠があるか」だけです。上昇するかどうかは、まったく別の問いです。
そして判定には必ず「効かなくなる条件」を併記しています。前提が崩れたことを、株価ではなく決算の数字で確認できるようにするためです。
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